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2007-12

家出、カプセルホテル

 のんびりとした年末年始にしたいと思っていたけど、久しぶりに女房と口論となってしまい、家出する。結婚7年目にして、初めての家出。長い休みだし、このまま一人旅もいいかもと思ったけど、3日目に、やっぱり娘のことが心配で帰宅する。寂しい思いをさせたくない。
 家出中、初めてカプセルホテルに泊まる。以前から一度、利用してみたかったのだ。ドキドキ、ワクワクしながら泊まる。なんだかキャンプをしているみたい。妙に明るいフロントマン。最小限のスペース。リモコン不良のテレビ。かすかに漂う酸っぱい臭い。いくぶんくたびれたところはあったけど、家出とワケあり客にはふさわしい風情がある。ただ、ひとつ解せなかったのは、浴室のドアの前にあった張り紙。「盗難が多発しております。万一のため、貴重品はロッカーに入れずに自己管理してください」。ここって、ロッカーに入れていても盗まれるのか。怖い。
 その後も夫婦仲は凍ったまま。その分、娘と遊んで、仲良しこよし。「パパ、サイコー」を連発する。ちょっと言い過ぎなんじゃないかと思うくらい。だから、いっぱい、いっぱい遊んであげる。

モスバーガー、クリスマスケーキ、「明石家サンタ」

 3連休最終日は、娘と一緒にモスバーガーで朝ごはん。「チキンは夜食べるから、いらないからね」「もう、ポテトいらないの? 全部食べちゃうよ」。よくしゃべる娘。帰り、ポケットに隠し持っていたグミを取り出して食べる娘。「ママには内緒だよ。パパと○○(自分の名前)は、いっぱい秘密を持っているね〜」と一人で盛り上がる娘。
 昼から、女房と娘はクリスマスケーキ作り。「泡立てすぎだよ」と言うと、女房、しっかりご立腹。「じゃあ、食べなきゃいいでしょ」。クリスマスなのに、不穏な空気が満ちる。
 午後から本格的に大掃除と自分の部屋の模様替え。これまで窓側に置いていた机を、壁側に変える。なんとなく、広くなったような気がする。たまっていた雑誌や本を片っ端から処分。読んでいない雑誌や本も多く、反省。つんどく本はやめよう。風通しが良くなる。
 夜、膨らまなかったクリスマスケーキを食べる。「明石家サンタ」を見ようと思っていたけど、いつの間にか寝てしまう。

「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺の日記」、ドキドキ、マツリダゴッホ

 3連休2日目は、渋谷で映画「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺の日記」を鑑賞。ニコラス・ケイジの顔が好き。おかしみがあって、お笑い芸人にいそう。内容は期待ハズレで、子供向けなのかと思ってしまう。
 その後、友人とささやかな忘年会。瓶ビール1本、焼酎1杯で、ほろ酔い気分。生麩の揚げ出しが美味しい。福岡弁と鹿児島弁について盛り上がる。帰りにカフェに寄り、カプチーノで酔いを冷ます。「泡、少しもらってもいい?」。2歳上のRさんが、僕のカップからスプーンで泡をすくい取る。20代だったらきっとドキドキした瞬間だろうけど、ドキドキしない。ドキドキしたいな。
 深夜に帰宅。ネットで有馬記念の結果を知る。5万円ちょっとのプラス。少しドキドキ。1日早い、クリスマスプレゼント。

「劇団、本谷有希子」、「偏路」

 3連休初日は、新宿・紀伊國屋ホールで「劇団、本谷有希子」を観劇。タイトルは、偏る路と書いて「偏路」。上京した女の子が、夢破れて都落ちするという物語。地方と東京の対比が軸となっていて、田舎に帰ることの後ろめたさと諦めのつかなさ、そこに住む人への冷ややかな軽蔑を、主人公は抱いている。
 以前、本谷さんと話をしたとき、「悪意と同じぐらい、善意も描きたい」と言っていたけど、たしかにこれまでとは違って善意な人が登場する。といっても、その善意の描き方がいかにも本谷有希子らしい。押しつけであったり、ごまかしであったり。善意が混乱を呼び、ドロドロとした感情が浮かび上がる。
 終盤、2転、3転しながら、物語はどこかに不時着する。かすかに主人公は希望を見出したのかもしれないし、諦めたのかもしれない。そんな曖昧な印象で幕が降りる。ジェットコースターが、突然ゴール手前で止まるみたいに。
 帰りの電車のなかで、「新潮」掲載の「グ、ア、ム」を読み進める。ほぼ同時期に、2つのアプローチで、家族というテーマに取り組んだ本谷有希子を応援したいなって思う。

本谷有希子、阿久根小学校、年賀状

 出張校正のため、直帰。帰りに池袋のリブロに寄り、「新潮」と「yomyom」を買う。新潮は、本谷有希子の新作が載っているのがお目当て。川上弘美、絲山秋子の作品もあって、お得感。電車のなかで、矢野沙織の新譜「little Tiny」を聴きながら、絲山秋子の最新エッセイ『豚キムチにジンクスはあるのか』を読む。食エッセイだが、面白みに欠ける。絲山作品は、小説はいいが、エッセイはどれも精彩に欠ける。なんでこんなに差があるのかと思うくらい。
 ナポリタンの夕食を食べていると、電話がある。地元に住むT君からだ。突然の電話にびっくり。高校卒業以来だから、16年ぶりだろうか。すごい。お正月にT先生を囲んでの同窓会があるという。事務的なやりとりで終わり、あれれ、ずいぶん印象が変わった感じ。大人になったのかな。
 どうしよう。今年は帰る予定ではなかったのに。でも、久しぶりに会いたいな。S48〜49年生まれの阿久根小学校の卒業生のみんな、コメント残してくれたらうれしいです。
 遠い記憶が蘇り、久しぶりに昔の年賀状や手紙を引っ張りだしてくる。ああ、懐かしい。あのころ仲の良かった女の子からの手紙を見つける。ポエムが書いてある。心と心がふれあう瞬間が確かにあった。いま、どこで何をしているのだろう。
 今年は、久しぶりに年賀状を書こう。突然の年賀状でびっくりさせよう。

有馬記念、武豊

 今日ものんびりと、校正に没頭。会社での話題は、もっぱら有馬記念だ。普段は買わないが、有馬記念だけは買うという人が多いらしい。僕もその一人。
 個人的には武豊のファンだ。一度、インタビューしたことがある。謙虚で、スマートで、言葉に飾りや企みのない人だった。一言でいえば、壁がないのだ。
 なぜ、武豊は強いのか。もちろん努力や才能もあるが、一番の要因は、人に緊張を与えないという能力ではないか。人間でもそう感じるのだから、神経質な馬ならなおさらだろう。安心して、武豊を背中に乗せる。そして、いつも以上のパフォーマンスを発揮してしまう。
 ということで、有馬記念、どうしよう。穴狙いでいこうかな。

道案内、ホームビデオ、『レオン完全版』

 朝、ぼんやりしていたら、一駅乗り過ごしてしまう。会社近くの写真屋の前を通ると、入り口に「道案内お断りします」というビラが一枚。そんなに、道を教えるのがイヤなのかな。
 終日、校正や取材先とのやりとりに追われる。19時には退社。夜は、女房が忘年会で留守のため、娘の子守。一緒にお風呂に入ろうと誘うが、フラれる。「ママに会いたいよー」とグズられる。仕方がないから、「おゆうぎ会」や「七五三」のホームビデオを上映。自分が映っているのが大好きらしい。「もっと観たいよー。お願い、もう1本」と拝まれる。
 深夜、ようやく一人になって、映画に浸る。『レオン完全版』。以前観たときは、ジャン・レノってカッコいいなと思ったが、こんなに不器用で女性っぽかったかなと印象が変わる。

反省、『胡同のひまわり』、『星新一 1001話をつくった人』

 久しぶりのブログ更新。ようやく仕事が片づき、ホッと一息。タイトなスケジュールに追われて、振り返ってみると、心ここにあらずの仕事が多いなって少し反省。とことん考え抜いて、書いた原稿ってあった?
 昨日は、少し夜更かし。寝室用に買ったポータブルDVDプレーヤーで、映画『胡同のひまわり』を観る。北京の古い町並み、胡同(フートン)を舞台に、父と息子の確執と和解を描いたクロニクル。いささか紋切り型の演出が多いけど、1970年代から現在までの中国の激変ぶりを背景に、家族のうとましさと絆を厚みのある映像で見せてくれる。オリンピックを控えて、古い町並みが消えていく北京。なくなってしまう前に、胡同の路地を歩いてみたいなと思う。
 特典映像も観て、気づいたら深夜2時。それでも、なんとなく眠れず、最相葉月の『星新一 1001話をつくった人』の続きを読む。600頁近い大作。コツコツ、コツコツ読む。

小淵沢、リゾナーレ、山の神様がくれた水

 週末は、小淵沢へ家族旅行。目的は、リゾートホテル「リゾナーレ」に泊まること。以前から、女房が泊まりたいと言っていたホテルで、思いがけず予約が取れた。
 小淵沢は、八ヶ岳の南麓に広がる。駅構内に立ち食い蕎麦屋の匂いが漂っている。駅を出ると、学生時代に登った甲斐駒ヶ岳が見えて、ちょっと切なくなる。初日は、サントリーの白州蒸留所を見学。静かな森のなかにあって、寂しいくらい。こういうところで、人生を送るのもいいなって思う。「シングルモルトウイスキー白州」を試飲していい気分。ここでは、「天然水」も作っている。
 ホテルは、倒産後、星野リゾートに買い取られ、ファミリー層に力を入れているらしい。新しくはないが、清潔感があって、スタッフの対応も気持ちいい。プールに入って、ジャグジーに入って、夕食までワインを飲む。久しぶりにのんびりした時間。
 翌日は、小淵沢の町を散策。緩やかな傾斜地にホテルやペンション、民家が点在する。下から上へ歩いていく。坂の町といえば、長崎や尾道だが、小淵沢もその仲間に入れたいくらい。目につくのは、電柱と電線の多さ。せっかくの山々の風景が、電線で切られてしまう。風雪対策もあってのことなのだろうけど。
 でも、いい町だなあって思う。今度、生まれるならこんな町がいいな。海もいいけど、山もいい。サントリー「天然水」のコピー、「山の神様がくれた水」。いいコピーだなってあらためて思う。

赤瀬川原平、フェルメール、銀座のホステス

 今日で11月も終わり。仕事に追われて、1日が過ぎていく。取材のアポ取りが思うように進まず、どっと疲れが出る。タレントもモデルも、ミュージシャンもみんな忙しいのだ。
 仕事関連の本を読み進めるが、ほかの本が読みたくなる。日本経済新聞社編の『現代文化入門講座』を、“文化”という言葉に惹かれて読み始める。美術、文学、音楽、建築など、各分野の識者が筆をふるっている。赤瀬川原平の「発見された画家」にやられる。そういうことなのかと何度も感じ入る。フェルメールの「牛乳を注ぐ女」を見て、こう書く。「物の描写もさることながら、人間という微妙な生き物のとっさの身振りやその目つきなどから、その人の心理にまでたどれる道筋が精緻に描写されている、と思えるほどだ」と。これって、役者の演技にもいえることだなと思う。いい役者の演技とは、とっさの身振りや目つきから、その心理を想像できる。無意識に想像してしまう。
 21時に退社。師走間近の銀座はいつもより華やかで、色めいている。ふと思うのは、数年前と比べて路上で客引きをしているホステスが多くなったことだ。以前はそうでもなかったのに、最近は、節操なく声をかけたり、チラシを配っているホステスが多い。まるで歌舞伎町だ。大人の男と女が、ちょっぴり見栄を張って、カッコつける街が銀座ではなかったのか。
 

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プロフィール

Author:ナツメ
35歳。妻と娘(5歳)、義母の4人暮らし。職業はライター。趣味は読書、ジョギング、散歩。

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